入院先調整で30分以上待機も…沖縄県内の消防、コロナ拡大で救急体制ひっ迫を懸念


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 新型コロナウイルスの感染爆発を受け、各地の消防は救急体制の逼迫(ひっぱく)に危機感を募らせている。新型コロナの感染が疑われる場合、病院や沖縄県のコロナ対策本部との調整があり、通常の搬送より時間がかかる。医療機関の病床確保も厳しく、那覇市消防本部では入院先を調整するために、30分以上現場で待機するケースが増えている。

 「日に日にコロナ疑いの症例が増えている」。うるま市消防本部の徳山博幸救急総務係長は、感染者の増加に伴い、救急隊員が神経を使う「新型コロナ疑似症例」が増加していると感じている。

 感染が疑われる場合、隊員は防護服を着用するなど完全防備で出動し、帰任後も救急車を消毒しなければならない。「おろそかにすれば2次感染につながりかねない。通常の搬送より、次の出動までの準備に時間がかかる」と説明する。

 救急車が足りなくなった場合は、消火活動に使うポンプ車などを代用することを検討しているという。まだそのような事例は発生していないが「今後はポンプ車を出すような事態があるかもしれない」と、危機感を口にした。

 救急隊員はワクチン接種を終えているが「デルタ株は2回打っても感染するという報道がある。隊員にも家族がいるので、メンタルのケアにも気を使っている」と話した。

 那覇市消防局救急課の與那原健主幹は「5、6、7月とコロナ陽性者の搬送は減っていた。しかし、7月後半以降は感染者が増えているので、今後は陽性者の搬送は増えていくだろう」と警戒する。

 県によると、那覇市消防がコロナ患者を搬送する際、入院調整などで30分以上現場で待機した件数は7月26日~8月1日は5件で、最多になったという。県によると他の消防でも同様の事態になっているという。同消防は「コロナ患者を搬送する時は、病院や県のコロナ対策本部の調整がある。出動要請が重なった場合は現着に遅れが出ることも考えられる」と、救急体制の逼迫を懸念した。