PCR検査が急増 新型コロナ感染爆発の沖縄 医師に負担、発生届遅れも


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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、数千円でPCR検査が受けられる民間の検査機関を利用する人が増加している。陽性になる割合も上昇し、結果を基に診断する提携医療機関の業務も増大。作業が追いつかず、陽性が出た場合に県などに提出する発生届が遅れるケースも出ている。

 県の費用補助を受けて数千円程度で検査が受けられる民間の検査機関は、県内に7カ所ある。県によると、県内の民間検査機関の検査処理能力は1日当たり最大約1万件。7月1~8日の期間は5330人が利用したが、感染拡大に伴い7月30日~8月5日の1週間は1万3892人と2・6倍になった。

 今年2月から那覇市松山で「沖縄PCR検査センター」を運用するミタカトレードは7月末、検査需要の拡大に伴い、沖縄本島2カ所目のセンターを国際通り沿いに開設した。平日の朝8時ごろから並ぶ人もいて、週末に中北部から訪れる利用客も少なくない。

 センターでは県が実施する離島空港での検査なども受託し、1日の検査数が2千件を超える日もある。ミタカトレード沖縄支社の木下湖治代表(48)によると、第5波拡大に伴って検査に占める陽性率が上昇。以前は1%に満たなかった割合が、今は5%ほどだ。デルタ株の影響が背景にあるとみられ、「感染力の強さを実感している」(木下代表)という。

 陽性結果が出た場合に、県などに発生届を提出する、提携医療機関の医師の業務にも負担がのしかかる。今月6日の県の専門家会議では、検査数が膨大になり発生届の提出が数日遅れるケースがあるとして、検査体制について「負担軽減や分散もしないといけない」との意見が出た。

 県が補助している民間検査機関は那覇市5カ所、うるま市、浦添市が各1カ所で地域的な偏りがある。県は今後本島中部で新たな検査拠点を設置するほか、抗原検査キットの活用も含め体制拡充を急ぐ。