海を渡ったイモガイ 東北から来た土器<北谷の海辺散歩・生物調査から>3


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
出荷準備のため集積して埋められていたイモガイ(約2200年前、弥生時代)
亀ヶ岡系土器(約2500年前、縄文晩期)

 国指定史跡「伊礼原遺跡」を中心とする北谷の遺跡からは、海を越えた交流によって得られた品々が数多く出土しました。中でも約2500年前、縄文時代の終わり頃から弥生時代にかけて交流は活発になり、沖縄からはきれいな貝殻が、内地からは魅力的な土器が渡ってきました。

 東北地方を中心に作られた縄文土器は日本各地の縄文人を魅了し、沖縄の縄文人も同様に魅了されたようです。写真右の土器は、沖縄では初めて北谷で発見され、東北の縄文文化の影響が沖縄にも及んでいたことを語る資料です。左側の写真は、沖縄の外に出荷するため集められていたとされるイモガイです。
(写真は2枚とも北谷町教育委員会提供)。

 豊かな海の幸を原資に各地を渡り歩いた先人たち。自然を守るも壊すも活(い)かすも人。今回の沿岸調査が、限りある自然資源を活かした街づくりの一助になればと思います。
(北谷町教育委員会学芸員 藤彰矩)