沖縄経済界「非常に残念」 概算要求3000億割れ 厳しいコロナ禍…後押し訴える


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 2022年度の沖縄関係予算の概算要求額は、県が求めた3600億円を大きく下回る2998億円となった。13年度から続いていた3千億円を割ったことに、経済界からは落胆の声が上がった。

 県経済団体会議議長を務める県商工会議所連合会の石嶺伝一郎会長は、子どもの貧困や1人当たり県民所得の向上など、沖縄の課題解決に向けて高率補助などの特別措置の継続は不可欠という認識を示し、経済界として要請してきた一括交付金の継続を評価した。一方で、予算が3千億円を割ったことには「非常に残念。中小・小規模事業者の競争力強化をはじめとした産業の振興など、県経済の再生と発展のためにも概算要求額の確保をお願いしたい」とコメントした。

 県中小企業家同友会の喜納朝勝代表理事は、国と県の関係性が冷え込んでいることや、全国的な新型コロナウイルスの感染拡大から「ある程度の減額は想定していた」と話す。資本力に限りのある中小企業の多くが、昨年から続くコロナの影響で厳しい経営を強いられている。特に建設業で景況感が悪化し、原材料の高騰が経営を圧迫していることを危惧する。「厳しい時こそ、国にはしっかり財源を確保してもらい、自立経済に向けて後押ししてもらいたい」と訴えた。

 公共事業関係費は、前年度予算額から9.6%減の1211億5900万円となった。県建設業協会の津波達也会長は、詳細な内容が分からないとした上で「沖縄の交通インフラはまだ不十分だ。コロナ禍が収束すれば観光は確実に回復するが、現状の交通網では渋滞に対応できなくなる。災害への強靱(きょうじん)化も進める必要がある」と指摘した。

 県工業連合会の古波津昇会長は「予算をうまく執行できていない事業もあると聞いている。そうした課題を解消することが重要なのではないか」と概算要求額を巡り持論を述べた。

 新規で18億円余りが計上された「沖縄産業競争力強化・人材育成推進事業」について、「否定はしないが従来取り組んできたような内容になっていないか気になる」と指摘。「ものづくりを振興させるためにまずは物流強化に向けた中城湾港の整備などハード面にも力を入れてほしい」と要望した。

 JA沖縄中央会の大城勉会長は「減額されたことで農業振興に支障を及ぼさないよう、必要な予算確保を国、県に対し強く求めていきたい」と述べた。沖縄製糖業体制強化対策事業は、同28・7%減の7億1500万円となったが、大城会長は「恐らく季節工の宿舎整備事業の一部が完了したためではないか。単純な大幅減額ではないと願っている」と述べた。