次々と海へ投入される岩石 辺野古の新護岸工事「生態系に致命的」専門家や市民反発(動画あり)


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「N2」護岸部分に大型クレーンで投入した岩石をならすパワーショベルと作業員ら=27日午後、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ(ジャン松元撮影)

 【辺野古問題取材班】クレーン車が岩石を次々と海へ投入した。名護市の辺野古新基地建設で、政府は27日、軟弱地盤のある大浦湾側の「N2」護岸の工事に着手した。護岸付近に生息していたサンゴ約830群体は11日までに他地区への移植が強行された。専門家や市民は新基地建設の工事内容に疑問を持ち、反対の声を上げた。

 サンゴの移植作業は7月29日から8月11日までのうち6日間実施された。移植現場を監視していたダイビングチーム「レインボー」の牧志治さん(71)は「移植されたサンゴは小さく割られていて、本当に保護のための行為なのか。移植が工事のための免罪符となってしまっている」と疑問視した。

 N2護岸の長さは完成すると250メートル。日本自然保護協会の安部真理子主任は「大浦湾の入り口をふさぎ、海流を大きく変えてしまうのではないか」と懸念した。大浦湾では泥地、藻場など、特定の環境下でのみ生息できる生物がいる。海流が変われば、その環境も変わり「生態系への致命的なダメージになりかねない」と指摘した。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、市民らはキャンプ・シュワブゲート前などでの大規模な抗議活動は自粛している。沖縄平和サポートの稲葉博代表(71)は「人が集まって抗議できない状況で工事が進められている。腹立たしい」と述べた。「工事はまだまだ続く。コロナが収束するまでは、できる範囲で声を上げ続けたい」と力を込めた。