トライアスロン6位の秦、沖縄からの熱いエールに涙 「まだ強くなれる」成長実感


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
女子(運動機能障害PTS2) ゴールに向かう秦由加子。6位だった=お台場海浜公園特設コース

 東京パラリンピック第5日は28日、トライアスロンが行われ、女子運動機能障害PTS2の秦由加子(キヤノンマーケティングジャパン・マーズフラッグ・ブリヂストン)は6位だった。

 前日の昼すぎ、16分に及ぶ応援動画がスマートフォンに送られてきた。トライアスロンスクール「チームゴーヤー」の子どもたちが「チバリヨー!」と叫ぶ。11カ月の沖縄滞在中にお世話になった人たちからの熱いエールも。「笑顔でゴールして」「ゆかちゃん楽しんで」。母国で迎える大舞台に向け、指導を受けた同スクールの千葉智雄コーチによる丹精込めた手作り動画に涙があふれた秦由加子。「レースで全力を尽くす」。感謝の気持ちを胸にスタートラインに立った。

 初めは得意とする750メートルのスイム。「『しっかりテンポ上げて。練習してきたから大丈夫』とコーチの声が耳元で聞こえた」と練習中の助言を思い出し、8人中トップで陸上へ。20キロのバイクで6位となり、5キロのランでもそのまま順位を維持してゴール。メダル獲得を目指したが、初出場だったリオ大会と同じ順位で「世界トップの選手たちの背中が遠くて、悔しかった」と振り返った。

 一方で、コンディション不良で「完走が精いっぱいだった」という5年前に比べて「しっかり戦えた」と手応えも感じた。千葉さんと、妻のちはるさんの両コーチの下で鍛錬を積み、3種目とも成長を実感できた。「体幹の強さや体の使い方を鍛えてきた。沖縄に行った選択は間違ってなかった」と感謝を口にする。「勝てなかったということは、まだまだ強くなれるということ」と前を向く。

 取材対応の最後に冒頭の応援動画に触れ、声を詰まらせながら笑顔で言った。「『由加子が沖縄に来てくれてよかった』というメッセージをもらった。こちらこそ、沖縄に行かせてもらってよかったという気持ちでいっぱいでした」

 (長嶺真輝)