南洋遺族も拡大DNA鑑定参加を 具志堅さん呼び掛け


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DNA鑑定への参加を遺族に呼び掛ける具志堅隆松さん=2日、県庁記者クラブ

 厚生労働省は10月から、戦没者遺骨の身元を特定するDNA鑑定の対象地域を沖縄以外にも拡大する。遺骨収集された南洋諸島など全ての地域で、遺族の申請があれば、遺留品がなくてもDNA鑑定を実施する。沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんは2日、県庁記者クラブで会見し、「南方で家族を亡くした遺族もぜひDNA鑑定に参加してほしい」と呼び掛けた。

 具志堅さんは、沖縄戦の戦没者遺骨のDNA鑑定に関する説明会を自主的に実施し、遺族の集団申請を行ってきた。その度にフィリピンや南洋諸島などで亡くなった遺族から「自分たちは参加できないのか」と要望があったという。

 具志堅さんは、遺族に代わって沖縄以外の戦没者遺骨もDNA鑑定の対象にするよう厚労省に働き掛けてきた。

 対象拡大を受け、具志堅さんは「国民に対する戦争責任、戦没者の遺骨を家族の元へ返すという戦後処理の一端が76年目に、やっと動き出した」と実感を語った。ただ、厚労省の遺族への申請呼び掛けや周知は十分でないと訴えた。出身地を識別できる安定同位体鑑定の必要性も強調した。

 厚労省が海外や沖縄で収集保管し、DNA鑑定を実施する戦没者遺骨(今年8月現在)は13地域1万1169体。遺骨収集推進法では24年度までを遺骨収集の集中実施期間と定めているが、収容遺骨数は年々減少し、18年度は838体、19年度は404体、20年度は105体にとどまっている。問い合わせは厚労省鑑定調整室(電話)03(3595)2219。