保護へつなぐ思い 新種認定から40年 きょう「ヤンバルクイナの日」


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ヤンバルクイナを追い続けた友利哲夫さん(左)と教え子の「どうぶつたちの病院沖縄」副理事長の金城道男さん。背後のヤンバルクイナの写真は友利さんの自信作だという=13日、名護市内の友利さん宅

 9月17日は語呂合わせで「ヤンバルクイナの日」。国の天然記念物ヤンバルクイナが1981年に新種として認定されてから40年になる。一時、推定個体数が700羽程度まで減り、危機的状況となったが、野生生物の保護に取り組む「どうぶつたちの病院沖縄」や地域住民による外来種対策、飼育繁殖などで1500羽程度に回復している。

 ヤンバルクイナは新種に認定される前、地元では「ヤマドゥイ」として知られていた。友利哲夫さん(88)=名護市=がその存在を知ったのは50年前の復帰前後のころ。10年ほど探し続けた後、知人から死骸を入手した。はく製にし、同様の調査をしていた山階鳥類研究所に提供。「沖縄にぴったりの美しい色合いだ」と初めて間近で見た印象を振り返る。81年6月、同研究所が個体の捕獲に成功。ヤンバルクイナと命名され、新種として発表された。

 どうぶつたちの病院沖縄副理事長の金城道男さん(59)は1978年の初夏、高校生の頃、高校で生物を教えていた友利さんに連れられて国頭村の与那覇岳で夜、「ヤマドゥイ」を探した。その時は鳴き声は聞こえたが、姿を見ることはかなわなかった。金城さんは「先生から生物の知識、はく製の作り方、写真の撮り方を教わった。先生がいなければ今の自分はない」と話す。現在、金城さんは辺土名高校で将来の自然の守り手たちの育成に携わる。友利さんの思いは金城さんを通し次世代に継承されている。 

(長嶺晃太朗)

勢いよく側溝を飛び越えるヤンバルクイナ=2021年、国頭村