米軍普天間のPFAS濃度が低減 汚染水放出から2週間、国指針下回る


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 【宜野湾】米軍が普天間飛行場から有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)を含む汚染水を処理し、公共下水道に放出した問題で、宜野湾市は29日、放出から2週間後の9月9日に同一地点で採水した調査の結果を公表した。発がん性が指摘されるPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)を合わせて1リットル当たり19ナノグラムだった。放出当日の8月26日に採水した調査では、国の暫定指針値50ナノグラムの13.4倍に当たる670ナノグラムが確認されていた。今回は指針値の約0.4倍と大幅に低減されている。

 また、PFOSが1リットル当たり17ナノグラム、PFOAが同2ナノグラムだった。新たに有害性が指摘されているPFHxSは4ナノグラム検出された。

 今回の数値を鑑みると、前回の調査で暫定指針値の13倍に上る高濃度国のPFASが検出されたことは、米軍の汚染水排出が影響している可能性が高い。

 宜野湾市の松川正則市長は数値が低減され安堵(あんど)感を示しつつ「米軍の汚染水放出が(前回の)数値に影響したことは推測はできるが、まだ断定は難しい」としつつ、来週以降にも政府や米側と意見交換会の場を設けたい考えを示した。

 京都大学の原田浩二准教授(環境衛生学)は「今回の数値で米軍の放出が高濃度の原因だった可能性は残されるが、さまざまな条件で濃度は変動するため、今後もモニタリング調査を続けて結果を見る必要がある」と指摘した。

 また、放出当日、米側が処理水のPFOS・PFOA量は国の目標値を下回る1リットル当たり2.7ナノグラムだったと説明していたことから「なぜ米軍があの数値を出したのか追求し続ける必要がある。他の放出の可能性や下水の流れなどを調べるためにも、継続した調査が必要だ」と話した。