沖縄訴訟へ追い風期待 県内原告ら「画期的な判決」 高江機動隊の名古屋判決


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機動隊員に手足をつかまれ、強制的に移動させられる市民ら=2016年11月24日、米軍北部訓練場のN1地区ゲート前

 米軍北部訓練場のヘリパッド建設に伴う機動隊派遣を巡る住民訴訟で、派遣を決定する際の手続きに違法性があったと認定した7日の名古屋高裁判決。東京、名古屋、福岡、那覇の4地裁で派遣の違法性を問う住民訴訟が起こされたが、一審ではいずれも住民側が敗訴していた。名古屋高裁で住民側の請求の一部が認められたことに、県内の原告や関係者からは喜びの声が上がり、「沖縄の訴訟団にも追い風になる」と期待が寄せられた。

 「画期的で素晴らしい判決だ」。名古屋の原告から直接連絡を受けたという、北上田毅さんは声を弾ませた。沖縄での訴訟の原告になっており、各地の原告らと連携してきた。7日の高裁判決は、沖縄県公安委員会の援助要求を「重大な瑕疵(かし)がある」としており「沖縄側の対応も批判している。判決は大きな意味を持つ」と強調した。

 沖縄での訴訟の弁護団メンバーの日高洋一郎弁護士は、愛知県警本部長が派遣決定を専決で行ったという手続的な問題は、公安委員会への事後的な報告で解決したとした一審判断に対し、名古屋高裁は「事後的な報告では公安委員会が実質的に審議し、同意・追認したと評価することは出来ない」と問題視したと指摘。「理屈ではなく、実体を正しく評価した判決だと感じる」と評価した。

 さらに、高裁判決が米軍北部訓練場のN1地区ゲート前に市民が設置したテントや、車両を機動隊が撤去したことを「違法である疑いが強い」と判示したことにも触れ、「沖縄の訴訟団にとっても追い風となる判決だ。那覇地裁はテント撤去が違法かどうかの判断を避けたが、高裁那覇支部は正面から判断することを期待している」とコメントした。

 沖縄平和運動センターの上原邦夫共同代表は「基地建設のため、国が警察権力で県民を押さえつける、行き過ぎた進め方が裁かれたのではないか」と判決の受け止めを語った。「最高裁に行くかもしれないが、そこでも正しく国民の権利を守る立場で司法判断をしてほしい」と願った。


 

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