粟国緊急着陸、米軍ヘリ普天間に戻る 飛行は「継続」


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操縦系統のトラブルのため20日午後、粟国空港に緊急着陸した米軍のCH53Eヘリコプター=21日午前6時45分(読者提供)

 20日夕に粟国村の粟国空港に緊急着陸した米軍普天間飛行場(宜野湾市)所属のCH53E大型輸送ヘリが21日正午ごろ、自力で飛行して普天間飛行場に戻った。米軍は沖縄防衛局に対し、同型機の飛行を継続すると伝えた。粟国村は今月中に沖縄防衛局を通して米軍に抗議する予定。村議会も近く臨時議会を開き、抗議決議する見通し。

 米軍は別の同型ヘリで整備要員を島に派遣し、機体を整備した。同空港職員によると、緊急着陸した機体は21日午前11時8分ごろに離陸した。普天間飛行場に戻った後は、駐機場で隊員や整備用車両が機体を点検する様子が確認された。少なくとも同日午後5時ごろまでは駐機場にとどまったままだった。在沖米海兵隊は21日、琉球新報の取材に、緊急着陸前に同機が空中給油中だったと明らかにした。「注意が必要な兆候に気付き、飛行可能であったが乗員へ十分な注意を払って予防着陸した」と説明した。

 粟国村民からは21日、驚きや不安の声が上がった。粟国空港は住宅地から離れた場所にあり、同日朝の報道で緊急着陸を知った住民も多くいた。40代女性は「米軍機が上空を飛ぶことはあるが、緊急着陸は(生まれて)初めてだと思う。脅威にさらされていると実感した」と語った。

 玉城デニー知事は21日の会見で「航空機関連事案は大惨事を引き起こしかねず、非常に遺憾だ」と述べた。県も21日、在沖米海兵隊と沖縄防衛局に対して原因の究明や実効性のある再発防止策、安全管理の徹底などを口頭で要請した。