ジェイコブ・コーラ-さん沖縄初公演 超絶技巧で魅了 歌三線とのコラボも


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圧巻の演奏を繰り広げるジェイコブ・コーラー=10日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(喜瀬守昭撮影)

 ピアノ教室で講師を務める傍ら、ピアノ演奏動画を扱うYouTuberとしても活躍する、ジェイコブ・コーラーのジャズピアノコンサート(琉球新報社主催)が10日、那覇市の琉球新報ホールであった。初の沖縄公演は、ジャズの王道やヒット曲、アニメソングなど計19曲を、多彩なリズムと音でアレンジし演奏した。観客は、天才が生み出す、一夜限りの特別なメロディーを楽しんだ。

 1曲目の「ルパン三世のテーマ」は、ロマンチックな調子の序奏で始まると、間もなく急加速し、ラストまで疾走感あふれる演奏を展開した。「丸の内サディスティック」ではコーラーが合図を送ると、熱い演奏に浮かされるように、観客も情熱的な手拍子を返し、会場一体となって盛り上がった。エモーショナルにアレンジした「涙そうそう」も披露された。

グルービーなセッションで魅了した(左から)コーラー、高尾英樹、中村亮

 オリジナル曲「Jazz Piano Meguri(ジャズピアノめぐり)」は、軽快ながら、和を思わせる音の運びで日本の風情を感じさせた。1部最後は「恋」を、グリッサンドも用いながら、アップテンポに演奏し、熱気と共に幕を下ろした。

 2部は、ドラムの中村亮とベースの高尾英樹とのセッションによる「枯葉」から幕を開け、「名探偵コナンのテーマ」、「リベルタンゴ」を披露した。本番当日に初めて顔を合わせた3人だったが、即興演奏は息もつかせないほどの手数と多様さで、観客を圧倒した。セッションを楽しむコーラーの無邪気な笑顔も観客を魅了した。

伝統楽器とのコラボを楽しむコーラー(左)と、宜保和也

 歌三線の宜保和也とのコラボでは「てぃんさぐぬ花」や「島唄」、宜保のオリジナル曲を演奏した。コーラーは「シンプルな構造だが、一つの音を弾くだけで沖縄を感じさせる」と、初めて共演する三線の魅力を語り、弦声に寄り添うように鍵盤をなでた。「島唄」では宜保の切々とした歌声と、2人の演奏に自然と客席から手拍子が起こり、コーラーも目を潤ませた。

 演目の最後は情熱的に「スペイン」を奏で、アンコールのラストは出演者全員による「唐船ドーイ」で飾った。

 コーラーは「お客さんが、気合の入ったドラムのような手拍子をしてくれて、やりやすかった。セッションは約3年ぶりだが、2人のおかげでインスピレーションをたくさん受け、いつもと違う良い演奏ができた。お客さんのわくわくや音楽を楽しもうという気持ちを感じ、一緒に盛り上がれた」と笑顔を見せた。
 (藤村謙吾)