「自分ごととして考えて」臓器移植普及で動画 楽曲はモンパチのキヨサクさんプロデュース


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 10月は「臓器移植普及推進月間」。県保健医療福祉事業団は臓器提供の意思表示について考えるきっかけにしようとショートムービー「あなたのこと」を制作し、動画投稿サイト「ユーチューブ」で発信している。那覇市の県立図書館では臓器移植医療を学べるパネルや普及啓発ポスター、書籍などを今月25日まで展示しており、同事業団は「臓器移植を自分ごととして捉えてほしい」と呼び掛けている。

臓器提供の意思表示について考えてもらおうと、県保健医療福祉事業団が発信するショートムービー「あなたのこと」(ユーチューブより)

 「あなたの『意思』に、間違いなんてない」―。動画は、夫が突然事故に遭い、救命困難と告げられたある家族のストーリー。夫の運転免許証の裏に、臓器提供の意思表示があったことを初めて知る。子どもたちや夫の姉らと話し合い決断するまでや、その後の家族の思いが描かれた。動画内で流れる楽曲は、MONGOL800のキヨサクさんがプロデュースし、歌唱を女性歌手のthea(テア)さんが担当した。

 これまでは、月間に合わせたシンポジウムや街頭イベントなどを開催してきたが、新型コロナウイルスの影響で昨年に続き今年も中止となった。若い人を含め、多くの県民が臓器移植を考える機会にしようと動画制作に至った。

 今年9月30日現在、全国で約1万5千人が臓器移植を希望し、日本臓器移植ネットワークに登録している。そのうち実際に移植が受けられるのは、毎年希望者の1~2%程度。県内では、亡くなった人から腎臓を提供してもらう「献腎移植」を四つの医療機関が対応する。人工透析を受ける人は県内4566人で、そのうち238人が透析を受けながら腎臓の移植を待つ。移植を受けた患者は平均で14年半提供を待つ現状にある。

 同事業団によると、県内では本年度3件の臓器提供があった。そのうち2件は意思表示があった例で、同事業団の臓器移植コーディネーター・勝連知治さんは「日頃から家族と話し合っておくことがとても大切だ」と語る。

 臓器移植は、臓器を提供する、提供しない、移植を受ける、受けないの四つの権利がある。健康保険証や運転免許証などで意思表示ができる。臓器の提供は、最終的に家族の承諾が必要となる。勝連さんは「臓器移植を自分ごととして捉え、家族と話すきっかけにしてほしい」と呼び掛けた。ショートムービーはhttps://www.youtube.com/watch?v=plmvR40Wb3U

 (吉田早希)