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女性が受けるネットの被害、可視化へ連帯<伊是名夏子 100センチの視界から>108


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連帯し、活動していく、菱山南帆子さん(後列左)、山田亜紀子さん(同右)、石川優実さん(前列左)

 サイバーハラスメントについて知っていますか。インターネットのTwitterやまとめサイト、Yahoo!コメント、Youtube、Amazonレビューサイトなどで、匿名の人たちが、本名で活動する人に暴言を投げつけ、誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)し、デマを拡散し、しつこく付きまとうことです。

 その攻撃は女性が対象にされることが多く、その中でも障害者、在日朝鮮人、沖縄出身など、よりマイノリティに属する人がターゲットになりやすいのです。被害はインターネット上だけでなく、実生活にも出てきて、仕事を辞めさせられたり、家族や友人から疑われたり、時には命を落とす人もいます。このサイバーハラスメントの実態を知らない人が多いため、理解が得られにくく、被害者はより孤立させられます。取り締まる法律もほとんどない無法地帯で、改善がとても難しいのです。

 車いすユーザーの私が、4月に電車に乗れなかった体験をSNSで発信したところ大炎上しました。「わがまま」「車椅子なのだから事前に連絡しろ」「駅員がかわいそう」と批判が殺到。続いて「伊是名がいたら階段から突き落としたい」「テロリスト」「クズ」「社会に迷惑をかけているのだからいなくなった方がみんなのため」のヘイトスピーチ。

 さらには「ヘルパー制度を不正利用している」「歩けるのに歩けないと嘘をついている」のデマが拡散されました。私の著書のアマゾンのレビューページでは「わがままおばさん」「醜い生き方で嫌悪感しかない」、ヤフーコメントには「障害者ではなく、伊是名が許せない」と書かれます。Youtubeでも「モンスタークレーマー伊是名夏子」など、20万回再生されているものもあります。9月までの5カ月で、私に関するTwitterの書き込みは4万5000件以上、Yahoo!コメント7951件、5ちゃんねるでは61万2845件になっていて、今でも毎日、新たな誹謗中傷やデマ、ヘイトのコメントや動画が更新されています。

 俳優でアクティビストの石川優実さん、市民活動家の菱山南帆子さん、編集者の山田亜紀子さんと「オンライン・セーフティー・フォー・シスターズ」を立ち上げました。実態調査のアンケートや署名活動をし、法改正にも向けたいです。ネット被害専用のカウンセリング窓口や、弁護士の相談窓口も必要です。しかしまずは私たちが命を落とさないために連帯します。被害を可視化し、安心して使えるネット環境を作りたいです。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。