辺野古訴え比重 「オール沖縄」弱体化否定、連携に自信 衆院選沖縄


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「工事は進んでいないと認識している」

 衆院選公示翌日の20日に開かれた県議会決算特別委員会。自民党県議から米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設の進捗(しんちょく)への認識を問われた玉城デニー知事は、現状の埋め立て土砂投入量が推定で全体の7.8%にとどまるとして、そう答弁した。

 辺野古新基地建設反対を旗印に保革を超えた「オール沖縄」が誕生した2014年の衆院選は同勢力が沖縄の4選挙区全てで勝利。17年の衆院選は3勝1敗と自民候補に勝ち越したが、辺野古での埋め立て工事は続いている。玉城知事の答弁は従来通りの文言だが、新基地建設を巡る有権者のあきらめムードの打ち消しを改めて図った格好だ。

 ここ数年の国政選挙では辺野古新基地建設への姿勢が最大の争点とされてきた。ただ今回の選挙は新型コロナウイルス禍からの経済回復や今後の沖縄振興計画の在り方も主要争点に位置付けられる。その雰囲気を受け「前回、前々回ほどの風はない」(県政与党関係者)との声も漏れる。

 選挙戦での戦略の立て方の難しさを反映するように、公示日19日の出発式で、ある候補は新基地建設を進める政権の姿勢を批判しつつ「辺野古反対」と訴えることはなかった。ただ選挙戦も終盤に差し掛かり、政権与党の自民候補との対立軸を明確にするため、「辺野古」の比重を高める動きも出ている。

 報道各社などの調査で、一部の選挙区では「オール沖縄」勢に優位な情勢も出ている。ある陣営幹部は、保守・経済界の離脱による「オール沖縄」弱体化との見方を否定し、同枠組みの定着による国政野党の連携が全国よりも深化していると自信を見せる。

 一方、知名度で圧倒していた現職が保守系候補に敗北を喫した17年の名護市長選を引き合いに「敵は選挙区の相手候補ではない。政権だ」と強調し、引き締めを図る。

 「オール沖縄」勢の全勝に向けて、玉城知事も接戦区を中心に各地でマイクを握る。来年の県知事選の前哨戦とも位置付けられる今回の衆院選。各陣営の選挙戦略と共に、玉城知事の県政運営への評価が最終盤の情勢に影響を与えることになりそうだ。