自衛隊と在沖米軍がうるま市の浮原島で離島統合防災訓練 戦闘想定は否定


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
負傷者役を米海兵隊のCH53E大型輸送ヘリに運び込む米兵や自衛隊員ら=2日、浮原島訓練場

 自衛隊と在沖米軍は2日、離島で大規模災害が起きたことを想定した離島統合防災訓練を、沖縄県のうるま市の浮原島訓練場で実施した。自衛隊は約400人、米軍は約100人が参加した。同訓練は陸海空自衛隊が離島災害への対処能力向上のため2014年から実施してきたが、米軍が参加するのは今回が初めて。自衛隊・米軍双方は訓練はあくまで災害対応が目的だとして、離島防衛など戦闘想定を否定している。

 地震と津波の発生を想定し、負傷した住民らの救助を訓練した。浮原島を被災地に見立て、日米のヘリで沖縄本島の東約70キロに展開する海上自衛隊の輸送艦「くにさき」に輸送。輸送艦から陸自那覇駐屯地内の仮設医療施設や、米軍嘉手納基地経由で米海軍病院などに搬送した。

 自衛隊は2日、訓練の様子を報道陣に公開した。米軍の参加は在沖米軍側から自衛隊に打診した。

 第3海兵遠征軍のロバート・ムーリー少佐は報道陣に「孤立する可能性が高い離島が散らばっているところで、日米が連携して対処する訓練は重要だ」と意義を語った。一方で「今回の訓練は軍事作戦・戦闘は想定しておらず、この地域に展開する第3海兵遠征軍の災害対処能力向上が目的」と強調した。

 在日米軍の活動を観測するリムピースの頼和太郎編集長は、離島での戦闘時と同様の輸送ルートになることから「戦闘時と同様の装備を使う以上、戦時の負傷兵士輸送訓練との二面性はあるだろう」と指摘する。「実際の戦闘時には、沖縄本島から本土までの輸送ルートも追加される可能性がある」と推測した。