新名物マグロメンチカツ! 規格外でも「間違いない」味 宮古・伊良部佐良浜「おーばんまい食堂」


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 【宮古島】カリッとした衣に包まれたなめらかなすり身にシャキシャキとしたタマネギの甘み、練り込まれた大葉がふわりと香る。いんしゃ(海人)のまち、宮古島市伊良部の佐良浜漁港の新名物、マグロのメンチカツが評判となっている。9月の販売開始以来、右肩上がりで販売個数が伸びており、開発を主導した伊良部漁協の普天間一子さん(62)は「お客さんを呼び込む商品になった。試行錯誤を繰り返して作り上げたのでうれしい」と笑顔で話した。

カツが2個付いた「メンチカツ定食」

 これまで廃棄せざるを得なかった出荷規格に満たない1キロ未満のシビマグロ(キハダマグロの幼魚)を活用した。普天間さんは「せっかく漁師が取ってきた魚。味は間違いないのに小さいだけで食べてもらえないのは忍びなかった」と話す。

 漁師はもちろん、漁協職員や漁協が経営する「おーばんまい食堂」の従業員らと試食を繰り返し、それぞれの意見を取り入れながら改良を重ねた。食堂ではメンチカツ(1個250円)の他、カツ2個に新鮮な刺身、なまり節などの小鉢が6種付いた定食(千円)も楽しめる。

 新型コロナで飲食店などが営業自粛した影響で、魚の販路がなくなり伊良部漁協も大ダメージを受けた。宮古島市も漁業者支援の一環で販路開拓に向けた取り組みとして、伊良部産マグロの学校給食活用を目指した実証実験を始めた。提供を検討しているメニューには新名物のメンチカツも含まれている。

 19日には座喜味一幸市長をはじめ、市関係者や市内の学校給食に携わる管理栄養士を招いて試食会を実施した。メンチカツにフライ、フレークを堪能した座喜味市長も「とてもおいしい」と太鼓判を押す。

「ぜひ食べてみて」と呼び掛ける普天間一子さん=21日、宮古島市伊良部の「おーばんまい食堂」

 普天間さんは「メンチカツを食べた人が伊良部の魚のおいしさを知り、新しい販路開拓につながればと願っている。もっと多くの人に伊良部の魚を届けるためにこれからも工夫を凝らして挑戦を続ける」と力強く語った。

 (佐野真慈)