亡くなった瀬戸内寂聴さんは作家や僧侶としての顔だけでなく、反戦・平和を訴える社会運動にも精力的に取り組んだ。これまで何度も来県するなど県民と交流を重ね、沖縄にも思いを寄せていた。
「夏の終り」「かの子撩乱」など愛と人間の業を見詰めた小説を世に送り出した瀬戸内さん。人権と女性の地位向上を目指し、奉仕活動に取り組む「国際ソロプチミスト沖縄」主催の講演会などでたびたび沖縄を訪れ、文学との出合いや老いについて語った。
ソロプチミスト沖縄の会長を務めていたホテルサンパレス球陽館専務の金城幸子さん(81)は、瀬戸内さんが住んでいた京都市の寺院「寂庵」に足を運ぶなど交流を重ねてきた。瀬戸内さんは「沖縄が大好き」と語り、泡盛や豆腐ようを喜んで食べた。県産マンゴーを送るとお返しに本が送られてきたという。
訃報に接し、金城さんは「もっと長生きしてほしかったので、とても残念」と語る。同時に「『いつも筆を執りながら死にたい』と話していた。多くの人に慕われながら亡くなったのでは」と思いをはせた。
2018年には辺野古新基地計画撤回を求める共同声明の呼び掛け人にも名を連ねた。