宮古、八重山北方空海域で日米訓練 尖閣周辺で中国をけん制か 自衛隊が異例の公表


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宮古島・石垣島北方とみられる海域で共同捜索救難訓練を行う米空軍の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイ(下段左)と、MC130J特殊作戦機(上)、航空自衛隊のUH60J救難ヘリ(米空軍353特殊作戦群のフェイスブックページより)

 航空幕僚監部(空幕)は11日、宮古島と石垣島の北方空海域で、米空軍と9日に共同で訓練を実施したと発表した。尖閣諸島周辺とみなせる範囲での訓練を自衛隊が公表するのは異例。防衛省は制服組トップの山崎幸二統合幕僚長と米インド太平洋軍のアキリーノ司令官が8、9日に那覇基地、与那国駐屯地などを訪れたことも発表。尖閣の領有権を主張する中国をけん制する狙いがあるとみられる。

 空自からは、那覇を拠点とする航空救難団の救難捜索機U125AとUH60J救難ヘリコプターがそれぞれ1機ずつ、米空軍からは、空軍仕様の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイ、MC130J特殊作戦機が参加した。捜索救難の訓練を実施したとしている。

 訓練域に設定されていない空海域での初めての実施で、空幕では航空情報を出すなど海面の安全を確保した上で訓練したという。

 空自トップの井筒俊司航空幕僚長は11日の記者会見で「航空自衛隊の戦術技量と日米共同対処能力の向上が目的」と訓練の目的を説明した。尖閣諸島に近い空海域での初めての訓練で、中国海警局などの反応があったかについては「運用、情報に関わるため、答えは控えたい」とした。

 また、防衛省統合幕僚監部(統幕)は11日、自衛隊統合演習(実動演習)を19日から30日にかけ実施すると正式に発表。沖縄本島や先島の民間港を初めて使用するほか、自衛隊施設や在日米軍射爆撃場、全国の周辺海空域で大規模に実施する。米軍も初めて参加する。

 岸信夫防衛相は3月に開催された日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の際の記者会見で、尖閣周辺で米軍と共同訓練をする考えを示していた。