競技用車いす、専用ケースで安全に「空の旅」 JTAが制作、東京パラ代表も利用


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競技用車いすの専用ケースを制作した日本トランスオーシャン航空の職員らと喜納翼選手(手前)=11日、那覇空港

 日本トランスオーシャン航空(JTA)とJALスカイエアポート沖縄が、「レーサー」と呼ばれる競技用車いすの専用運搬ケース「Gifted(ギフテッド)」を制作し、11日に那覇空港でお披露目会を開いた。航空機の貨物スペースで他の荷物と直接接触することを防ぎ、安全輸送に一役買う狙い。

 素材は厚いプラスチックで、レーサーがすっぽりはまる形状になっている。高さ約65センチ、縦約180センチ。輸送時は緩衝材を入れ、車いすが傷付いたり、変形したりするのを防ぐ。

 JTA技術部の瀧澤健志さんが昨年4月の社内広報で、岡山空港で同様な取り組みがあることを知ったのがきっかけ。東京パラリンピックで二つの銅メダルを獲得した上与那原寛和選手など国際舞台で活躍する県勢選手や、県外から合宿で沖縄を訪れる選手もいるため、制作を決意。約20人のスタッフが今年4月に着手し、8月に完成させた。

 お披露目会に参加した車いす陸上の喜納翼選手は、東京パラのマラソン種目に出場した際に早速利用したという。喜納選手は「輸送時の不安が解消されて、レースに集中できる」と感謝した。

 瀧澤さんは「レーサーは軽量でつくられていて(輸送時の)故障リスクを伴う。県内外の方に利用してもらいたい」と語った。

 今回は運搬ケース4体を制作し、事前に予約すれば那覇空港以外でも日本航空グループの国内各路線で利用できる。