コロナで「自宅放置死」遺族会が発足 那覇で死亡した男性の遺族が立ち上げる


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 新型コロナウイルスに感染して病状が悪化したにもかかわらず、十分な医療措置を受けられずに自宅で亡くなった人の家族が遺族会を発足させた。名称は「自宅放置死遺族会」。同じ境遇の遺族を集めて情報交換するほか、行政に対して死亡した経緯の情報開示を求めたり再発防止を促したりしたい考えだ。

 大阪府の高田かおりさん(47)と埼玉県の西里優子さん(27)が9月下旬に立ち上げた。高田さんは「家族を自宅で亡くした遺族は行き場のない怒りや悲しみを抱いているが、気持ちを共有できる場がないと痛感したのが会発足のきっかけ」と明かす。

弟の竹内善彦さんのお別れの会であいさつする高田かおりさん(右)=9月、大阪府松原市(本人提供)

 高田さんは、那覇市に住んでいた弟の竹内善彦さん=当時(43)=を8月に亡くした。沖縄県で感染者数が連日のように最多を更新し、保健所の業務も逼迫(ひっぱく)していた時期だった。「行政的には入院調整中の死亡ということになるが、実態は放置されていたのではないか」と行政の対応に不信感を抱く。

 9月に知人の紹介で西里さんと出会い、同じ苦しみを抱いている人が他にもいると気付いた。西里さんは、父親の昌徳さん=当時(73)=の感染が8月8日に確認された。病院に何度も入院を求めたが、病院は保健所からの連絡を待つよう指示。13日になってようやく保健所から連絡が来たが、改めて自宅療養を指示された。昌徳さんはその直後に亡くなった。

竹内善彦さん(高田かおりさん提供)

 西里さんは「亡くなった後も保健所は仕方がなかったと言い、このままでは父の死がなかったことになりかねないと感じた。遺族のストレスを少しでも減らせるよう活動したい」と話す。

 会に参加するのは現在2人だが、東京を中心に全国から入会の問い合わせが寄せられているという。月1回オンラインで会合を開き、情報交換する方針。行政への要望の在り方などについて弁護士らから講義も受ける。

 遺族会のメールアドレスはjitakuhouchishi@gmail.com

(共同通信)