「米側の意向で未公表」官房長官が否定 有害PFAS1600倍「3者で公表調整」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
有機フッ素化合物を含む汚染水が流出した米陸軍貯油施設。中央の排水溝から汚染水が流出したとみられる=6月12日、うるま市昆布

 【東京】沖縄県うるま市の米陸軍貯油施設で6月に起きた消火用水流出事故を巡り、県と国、米軍の3者が実施した調査で国の暫定指針値を超える有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が検出された問題で、松野博一官房長官は3日の会見で「調整を行った上で適切に公表する」と述べた。

 米側の意向で、事故から約半年間経ても公表を控えているとされる点に、松野氏は「米側の意向で公表を控えているという事実はない」と強調した。

 一方、公表を先延ばしにする理由について明確な説明はなく、「分析結果を(国、県、米軍の)3者で共有し、公表に向けた調整を行った上で適切に公表する予定だ」と述べた。公表遅れの理由を問う質問が再度上がったが、3者合意の必要性を強調し「段取りを進めている」と繰り返した。

 岸田文雄首相が外相在任時の2015年に、日米地位協定の環境補足協定が発効した経緯を踏まえ、協定の有効性を問う質問も上がった。松野氏は「環境基準や立ち入りについて、法的拘束力を有する協定という形式で規定を設けている」とした上で、「施設区域内外の環境対策が実効的なものとなるべく努力を続ける」と述べるにとどめた。
 (安里洋輔)