インフルエンザワクチンの予約が取れない!なぜ?


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 沖縄県内でインフルエンザワクチンの予約が取りづらくなっている。新型コロナウイルスワクチンの生産に伴う資材不足などで、全国的に供給ペースが遅くなっているためだ。厚生労働省によると供給が年明けまでかかる可能性があり、接種需要に追いつかず予約を停止している医療機関が県内各地で出ている。

 県によると、インフルワクチンを接種した65歳以上の県内高齢者は2020年度に20万7552人おり、接種率は62・4%と過去5年間で最も高かった。「新型コロナとの同時流行が懸念され、供給量も増えて打つ人が多かった」(担当者)という。

 今年も10月1日にインフルの定期予防接種が始まったが、11月にかけて各地の医療機関に接種の希望が相次ぎ、予約が埋まったところが多い。沖縄市によると、市内39カ所の指定医療機関のうち、11月末段階で予約ができるのは「5カ所ほど」になっている。

 那覇市のあるクリニックでは「製薬会社からワクチンが届く見通しが立たず、12月分は予約を受け付けていない」という。市の担当者は「病院によってワクチンが入ってこないところもあるが、徐々に落ち着いてきてはいる」と話す。

 新型コロナの感染対策の影響で、昨年からインフルエンザの患者は例年と比べ極端に少ない。県が県内57カ所の医療機関で実施している週ごとの流行調査によると、20年3月下旬から21年11月下旬まで88週連続で、1カ所当たりの患者数が1を下回る低い水準が続く。

 昨季は全国的にもインフルの患者数が少なかった。日本感染症学会は今年9月、社会全体の集団免疫が形成されていないと考えられ「海外からウイルスが持ち込まれれば大きな流行を起こす可能性もある」との見解を発表。積極的なワクチン接種を奨励している。

(當山幸都)