沖縄ファン164人が空から見つめた「恋する島」 チャーター便で新年参拝<台湾最強!彭國豪の沖縄発見>1


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台湾からのチャーター機の機上からのぞいた沖縄=2020年1月1日(「沖縄彭大家族自助錦嚢」提供)

 今年の元日、沖縄の上空を旋回し、そのまま台湾に戻っていった旅客機のことを覚えておいでだろうか。わたしたちが企画した「飛向沖縄・新年参拝」チャーター便だ。満席のボーイング737を埋めた乗客は164人。あいにくの雨模様だったが、雲の切れ間から陸地がのぞいた瞬間、窓を埋めた顔はただただ“恋する島”を見つめ続けていた。

 昨年の3月24日、新型コロナウイルスの影響で那覇空港の国際線が全便運休となった。沖縄旅行の道は閉ざされたわけだが、ビジネス客として再入国が許されているわたしは、いわばファミリーの代表として沖縄に通い、会員制交流サイト(SNS)の更新を続けている。

 何度も通ったラーメン店の動画やカフェの季節限定商品、沖縄ならではの青い海の写真に、1000単位の「いいね!」が瞬時に付く。沖縄に「帰りたい」と思い続けるファミリーに一目だけでも沖縄を見せてやれないか、というのがこのチャーター便を思い立ったきっかけだ。

台北からのチャーター便「CI7878」を案内するパネル=台湾・桃園空港(「沖縄彭大家族自助錦嚢」提供)

 各方面に打診を始めて、チャーター便が飛ぶらしいといううわさが立っただけで、申し込みが来る人気だった。

 発売開始の11月16日には3、4分で完売。便名も「CI7878」として「那覇(ナハ=78)」にこだわった。乗客には何度も来沖した沖縄通もいれば、初めて正月を“海外”で過ごすという壮年夫婦がいるなどさまざま。午後1時から3時半のわずか2時間半のクルーズ飛行だったが、機内には笑い声が絶えなかった。

 わたしの読みでは、来年の夏には台湾のワクチン接種率が全体の7割を超える。恐らく日台の国際線も再開するだろう。もしそれまでに那覇空港国際線の検疫施設が整えば、那覇空港も開く。その時、飛ぶ台北発・那覇行きの第一便をわたしたちのチャーター便にしたいと、今も準備を進めている。
 (口述・彭國豪、翻訳と構成・渡邉ゆきこ、毎月第1・3火曜日掲載)