「救えなかった命を守れる」琉大ヒト組織提供 再生医療への貢献期待


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製薬企業へヒト組織を提供できる体制を提案し、概要を説明する琉球大学大学院医学研究科の清水雄介教授=6日、西原町の同校

 ヒト組織を製薬会社などに提供する枠組みの構築について、琉球大は国内の再生医療用の製品や新薬の開発の進展に貢献できると期待している。

 国内ではヒト組織や細胞を製薬企業に提供することは違法ではないが、倫理的な懸念が大きく、企業は海外からの調達に頼ってきた。しかしコストが高く、倫理課題についても解決されていないとの指摘もあり、製薬自体を断念する企業が多いという。

 琉球大学大学院医学研究科の清水雄介教授が主導して構築した体制は、国に事業採択された国立大の琉球大が、外部委員らによる審査を経ることで「国のお墨付きを得た」提供を可能とした。

 清水教授は「入手がしやすくなったことで再生医療等製品をつくる企業が増える。これまで救えなかった人たちの命を守ることができる」と期待する。将来的にはアジア諸国に提供できる体制の構築も視野に入れている。 (嘉数陽)