橋のメンテ技術向上へ 多機能防食デッキの講習会 琉球大学工学部


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琉球大工学部に設置された実物試験橋の見学をする講習会参加者ら=11月、同大

 橋を合理的にメンテナンスして安定的に維持することなどを目的として、近年全国的に導入が進んでいる「多機能防食デッキ」の施工事例や点検技術などを学ぶ講習会が、このほど琉球大工学部で開催された。県土木建築部や沖縄総合事務局、建設業の関係者など約40人が参加した。

 多機能防食デッキは、雨や風の影響を受けて劣化しやすい橋の下を、さびにくいアルミやステンレスのパネルで覆い、橋の下とパネルの間に密閉空間をつくる。空間内を自由に行き来できるようになるため、常設の足場としての役割も果たす。橋の長寿命化と、点検者の維持管理の省力化などが期待されており、沖縄科学技術大学院大学(OIST)学内の橋をはじめとして、近年県内でも導入が進んでいる。一方で、同デッキ自体の点検が必要になることや、巨大台風下での耐風強度などについて検証が不十分であることから、継続的な調査や、施工やメンテナンス技術の向上が必要とされている。

 同大では現在、台風襲来時の風が同デッキに与える影響などについて調べるための実物試験橋が設置されており、試験橋のモニタリング調査の進捗(しんちょく)報告や、見学会も行われた。同大工学部の下里哲弘教授は「インフラは建設したら終わりではない。必ずメンテナンスが必要になる。100年先を見据えたメンテナンス技術の向上が今後さらに必要になる」と話した。
 (嶋岡すみれ、写真も)