沖縄県、復帰50年「建議書」検討へ 復帰時の「屋良建議書」理念を念頭に 


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沖縄県庁(資料写真)

 玉城デニー知事は9日、県議会11月定例会の一般質問で、2022年に沖縄が日本に復帰して50年を迎えるのに合わせ、県民の声を取り入れながら沖縄の将来像を示す建議や宣言をまとめる方向で検討することを明らかにした。復帰時に琉球政府の屋良朝苗主席(当時)が政府に示した「屋良建議書」の理念を念頭に、現状を踏まえて策定したい考え。仲村未央氏(立憲おきなわ)への答弁。

 屋良建議書は、屋良主席が1971年、米軍基地撤去など施政権返還(日本復帰)後の沖縄の将来像を示し、佐藤栄作首相に手渡した。玉城知事は「当時と現在の問題を比較し、この先、どう歩んでいくべきか、もう一度、確かめなければならない」と語った。

 中国が台湾を侵攻する「台湾有事」の可能性について、玉城知事は「平和的な外交努力で各国間の協力体制を構築することが有事を回避する道筋だ」と述べた。アジア地域の平和・安定が世界の安定につながると強調し「政府にも不断の努力を続けてほしい」と話した。新垣光栄氏(おきなわ)への答弁。

 在沖米軍での新型コロナウイルス変異株の検査について、大城玲子保健医療部長は「海軍病院が本国へサンプルを送り、解析している」と説明した。玉城知事は在沖米軍トップのジェームズ・ビアマン四軍調整官と面談を調整中だとし、協力を求める意向を示した。西銘純恵氏(共産)への答弁。

 名渡山晶子子ども生活福祉部長は、米軍人・軍属との家庭問題や、交際トラブルを抱える女性の相談窓口「国際家事福祉相談所」の相談件数に関し、4月の設置から10月末までに116件あったと明かした。玉城知事は養育費回収の仕組みについて「総合的に調査・分析する」と述べた。喜友名智子氏(立憲おきなわ)への答弁。

 経済的理由などで生理用品の入手が困難な「生理の貧困」を巡り、金城弘昌教育長は、支援する任意団体レッドボックスジャパン(東京)が進める生理用品の無償提供について、県内で私立を含む小中高校、特別支援学校109校の申し込みを受け付けたと説明した。西銘氏への答弁。

 (梅田正覚まとめ)