過疎対策で陸自を誘致した与那国町 人口は横ばい 町「人口減に歯止め」


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与那国島の空撮

 過疎化を防ぐために、陸上自衛隊を誘致した与那国町の人口が横ばい傾向にあることが10日、2020年国勢調査確定値で分かった。20年の人口は自衛隊配備前の10年比で19人増の1676人(男性923人、女性753人)、世帯数は47世帯増の760世帯だった。自衛隊配備前の人口減少傾向に一定の歯止めが掛かっているものの、今後はもともと住んでいた島民の人口を維持し続けることができるかが課題だ。

 町の資料を基にした本紙の試算によると、160人規模の自衛隊配備が完了した16年から20年の5年間で、隊員とその家族らの転出入で「社会増」が総計207人だった。一方、同期間の出生数から死亡数を引いた「自然増減」は総計0人だった。
町によると、自衛隊関係者が町に定住した例はこれまでなく、自然増減には影響していない。

 町担当者は「自衛隊配備がなかったら、人口はもっと減っていた。自衛隊のおかげで人口減に歯止めが掛かっている」と説明する。配備の効果で、町税収は配備前より大幅に増額したという。

 町は外間守吉前町長が人口減に歯止めを掛け、経済活性化につなげるために自衛隊誘致を進めた。住民投票による賛成多数を受け、14年4月から工事が始まった。

 工事関係者の増加により15年国勢調査では1843人(男性1147人、女性696人)と一時的に急増した。町によると、前回調査時に多く居住していた駐屯地建設工事に関わる労働者が去ったことで、20年の人口は大幅に減った。

 (梅田正覚)