ヘイトスピーチ条例、差別的言動で氏名公表も 沖縄県が構成案 県民への差別は対象外


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県は20日、ヘイトスピーチ条例の制定に向けて有識者の意見を聞く検討委員会の初会合を那覇市内で開いた。県当局が示した条例構成案は、在日外国人などに対する差別的言動を規制対象とし、県民は対象外としている。差別を抑制する措置としてインターネットプロバイダーに削除を求めたり、差別的言動をした者の氏名を公表したりすると規定した。罰則は設けない。氏名公表について市民団体からは「実効性がない」と疑問視する声が上がった。

 県条例の仮称は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する条例」。在日外国人に対する差別的言動を規制する「ヘイトスピーチ解消法」を踏襲しつつ、観光客ら訪日外国人などの一時滞在者も対象に加えた。

 差別的な言動に当たるか意見を聞く審査会を新たに設置。差別的だと認められれば氏名を公表し、インターネット上の書き込みの場合には法務局やプロバイダーなどを通じて削除を求める措置をとる。

 委員会の会長に就いた島袋秀勝弁護士によると、委員からは県民への差別的言動も対象とすべきだとの声があった。一方で在日外国人が対象のヘイトスピーチ解消法に添うべきとの意見も出た。

 県の座安治生活企画統括監は「(県民への差別も対象に加えるようにとの)要請、陳情もあり、検討する」と述べた。(知念征尚)