新たな沖縄振興特別措置法の期間が従来通りの10年となってまずは安心した。政府も示している通り、沖縄の潜在可能性は日本経済の再生につながる力がある。私も副知事時代にその方向性を目指し沖縄振興計画素案の策定に関わった。仮に期間が5年なら達成はさらに難しくなっただろう。
新法は5年で見直しという付則がついたが、大局的な観点を考えると現場は厳しい選択を迫られる。例えばコロナで落ち込む県経済復興のために10年後、それ以上に向けた大きな方向性を描いても、5年という短期間で成果を出さないといけないとなると安全な政策しかできなくなる。目指すべき地点のハードルが下がるのではないか。
大事なことは沖縄は日本経済の起爆剤となれるかだ。コロナ以前は長年の沖縄振興で、国内有数の経済成長を記録し、自立型経済のエンジンの芽が出始めていた。
県と国の対立が来年度予算の大幅減に響いたように見える。しかし、日本はこれから人口減少で緩やかに衰退する。しがらみを超えて日本の発展や沖縄の自立型経済の構築を目指した振興計画の理念を目指すよう、沖縄側はもっとプッシュすべきだ。本来、振興に思想信条は関係ない。今は現実と理念が乖離(かいり)している。
(経済学)