與那嶺(豊見城)バンタム級で判定勝ち 大会の最優秀選手に選出 ボクシング県高校選手権


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バンタム級決勝 第3ラウンド、岸本翔龍(左・名護商工)の顔面を捉えた與那嶺翔(豊見城)のパンチ=29日、糸満市の沖縄水産高(又吉康秀撮影)

 ボクシングの第58回県高校選手権大会最終日は29日、沖縄水産高で各階級の決勝が行われた。バンタム級は與那嶺翔(豊見城)が3―0で岸本翔龍(名護商工)に判定勝ちした。與那嶺は今大会の最優秀選手賞に選ばれた。フライ級は桑江羅唯也(中部農林)が名嘉原安槻(浦添)をRSC2回14秒で下し、ライト級は泉川寛愛(中部商)が比嘉理喜(名護商工)に3―0で判定勝ちした。ウエルター級は新垣基広(浦添商)が、仲宗根大和(宮古工)をRSC3回56秒で破り、ライトフライ級は與座力希夏(宮古工)が安里航陽(沖縄水産)に3―0で勝利、沖縄水産同士の対決となったライトウエルター級は親川奨が、池田米偉に3―0で勝った。ピン級の山口琉希(那覇工)、ミドル級の安里悠(陽明)は認定優勝した。

 ライトフライ級から2階級上げて挑んだ初の大会。バンタム級の與那嶺翔(豊見城)は冷静なパンチを繰り出し、優勝をもぎ取った。高校での競技生活を有終の美で飾った勝因は“けがの功名”で得た、新たなファイトスタイルだ。

 これまで主戦場としてきたライトフライ級では、2年生になって以降、県内では負け知らず。より高みを目指すようになり「名のある選手が多く集まるバンタム級で出るしかない」と決意した。

 今夏にバンタム級の選手にスパーリングで負けたことも心に火を付けた。バンタム級で「リベンジを果たす」との思いで臨んだ。

 急激な体重変化により、大会まで1カ月を切った12月初旬に左膝を故障した。練習再開は大会2週間前にずれ込んだ。痛む左足をかばうため、体の重心が後ろ足に移動した。それが功を奏し、相手のパンチに当たらず、動きを冷静に見られるようになったという。

 指導者からも以前から求められてきたスタイルだったといい、「これは強い。試合前から優勝の自信はあった」と振り返った。

 1回戦で敗れたインターハイ。「このスタイルができていたら、もしかしたら」との思いもよぎる。それでも、この大会でMVPも獲得し「悔いの残らない終わり方ができた」と柔らかな笑顔で語った。
 (知念征尚)