宮古島出身の山本が4トライ 全国高校ラグビー 奈良の強豪校の御所実業をけん引


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ラグビーの全国高校大会第3日は30日、大阪府東大阪市の花園ラグビー場で2回戦16試合が行われ、3連覇を狙うAシードの桐蔭学園(神奈川)が昌平(埼玉)に64―0で大勝し、宮古島市出身の山本晴大が所属する御所実業(奈良)は55―7で青森山田を圧倒して3回戦に進出した。御所実はゴール前のラインアウトからモールで押し込む展開で、SH山本が4回トライを決めた。山本は終始、攻撃の起点となり司令塔として試合を組み立てるなど活躍した。Aシード勢は、選抜大会を制した東福岡が初出場の専大玉名(熊本)を81―0、東海大大阪仰星(大阪第2)は光泉カトリック(滋賀)を48―0でそれぞれ退けた。Bシードの大阪桐蔭(大阪第3)は札幌山の手(南北海道)に22―7で逆転勝ち。前回準優勝の京都成章など、シード校はすべて勝ち上がった。来年1月1日に3回戦8試合が行われる。


宮古島の逸材、4トライ躍動
 

御所実業―青森山田 前半、タックルをかわし突破を図る御所実業のSH山本晴大(中央)=30日、東大阪市花園ラグビー場

 ラグビーの強豪県、奈良の御所実業で司令塔役となるスクラムハーフ(SH)を任される、宮古島市出身の山本晴大(平良中出)が巧みなボール回しに4トライと躍動した。単身で島を飛び出して人一倍の努力を重ね、リーダーにも起用されるなどチームを引っ張るまでに成長した。花園初戦の青森山田戦で勝利に貢献し、チームは3回戦進出を決めた。

 大学まで選手だった父大司さんの影響で小学生から競技に触れ始めた。転機は中学2年の頃。その年に県ラグビーフットボール協会創立50周年記念事業で高校ラグビー招待試合が開催され、参加した御所実の強さを目の当たりにし引き込まれた。周囲の助言もあり「やるんだったらとことん」と強豪校への進学を決意した。

 本格的にプレーを始めたのは高校からだったが、すぐに「SHとしての身体能力が高い」と二ノ丸友幸コーチに素質を見いだされる。自身もトップリーグでSHだった二ノ丸コーチは「横の動き、細かな動き、ステップワーク、瞬発性などが優れている」と育成を図る。

 さらに持ち前の精神面の強さが成長を助ける。御所実はSHが司令塔を担うチームづくりが特徴。必然とSHへの要求も多くなるが、二ノ丸コーチは「一度も逃げなかった」と高く評価する。経験値こそ足りなかったが、高い身体能力とひたむきな努力に加え、打たれ強さや度胸の良さでSHとして才能を開花させた。

 日本代表に選手を送り出すなど全国屈指のSHを育ててきた御所実でポジションをつかみとった山本。昨年の花園はリザーブで出場した。今年は県予選で強豪天理を破って2度目の挑戦となった。まずは1勝し、目指すは「日本一」ときっぱり。個人としても日本代表SHを狙う。163センチ、68キロ。南の島の逸材が花園で大暴れする。

 (謝花史哲、写真も)