妊婦支援、食堂開設へ 県内高校生有志 孤立防ぎ不安解消 野菜の無料配布も


社会
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妊産婦らに野菜セットを無料で配布する與古田梨乃さん(右から2人目)=8日、南風原町津嘉山

 妊婦や産後女性の暮らしを応援しようと、助産師を目指す與古田梨乃さん(17)=沖縄市=や友人ら高校生有志が大人の支援を受けながら8日、南風原町のエナ・助産所で野菜の無料配布会を開いた。新型コロナウイルス感染症の影響で孤立が懸念される妊婦に食事を提供する「妊婦食堂」設立に向けた取り組みの一環。感染状況次第だが、3月にも妊婦食堂開設を目指しており「専門家の力を借りながら、妊婦が抱えている不安を解消したい」と意気込んでいる。

 與古田さんは助産師を目指す中で若年妊娠や一人親の多い沖縄の現状を知った。社会で孤立し誰にも頼れず一人でつらい出産や子育てをしていると助産師に伝えられ「不安を抱える女性に元気になってほしい」と、昨年の夏に妊婦食堂を思い立った。友人らの協力も得ながら食材調達や募金活動を行い準備を進めていたが新型コロナのオミクロン株急拡大で開催を断念。代わりに農家の厚意でもらった野菜を無料配布し妊産婦を支援することにした。

 この日は応募した10組の家族に対し、簡単に作れる料理のレシピを添えた野菜セットを配った。助産師に対する無料相談や料理の試食会も行われ、参加者らはリラックスした様子で催しを楽しんでいた。

 豊見城市の金城わかなさん(40)は4カ月の長男を連れて参加した。「2歳の長女もいて育児に悩んでいたが助産師への相談や先輩のママの話も聞けてとてもよかった」と満足そうに話した。

 與古田さんは「次回は妊婦食堂を実現させたい。こうした取り組みを続けることで、困っている女性に知ってもらい参加してもらいたい」と呼び掛けた。友人の樋渡美優さん(18)は「子ども連れだとリラックスできないこともあると思った。次回は託児スペースなども考えてみたい」と語った。 (小波津智也)