名護市長選 渡具知氏の勝因は?岸本氏の敗因は?


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 再選を決めた渡具知武豊氏は自民党県連、公明党県本の推薦を受けた前回の市長選同様、保守・中道票を手堅く固めたことに加え「子育て無償化3点セット」の実績で若年世帯の票を取り込んだ。米軍普天間飛行場の辺野古移設への賛否を示さない政治姿勢に批判もあったが、安定的な市政継続を訴えた選挙戦が奏功し、無党派層からも多くの支持を集めた。

 渡具知氏は岸本洋平氏より2カ月早く立候補を表明し、建設業者などの組織固めを進めた。自民、公明は昨年10月の衆院選で示した強力な連携体制で12月から選挙運動を展開。新型コロナウイルスの感染急拡大で大物政治家の投入は見送らざるを得なかったが、終盤に向け企業訪問や期日前投票を呼び掛ける電話作戦を徹底した。

 新基地建設反対を訴えた岸本洋平氏は玉城デニー知事を支える「オール沖縄」が選挙戦を展開。元名護市長の父建男氏の名を前面に出し保守層取り込みも図ったが、基地問題以外の政策を浸透させきれなかった。衆院沖縄3区で議席を失った危機感をばねに地域を回り、玉城知事自身も年明けから5度、名護入りし街頭演説するなど市政奪還を目指したが、差を詰め切れなかった。

(岩切美穂)