子どもの学校、買い物をするスーパー、土日に開かれる地域のイベント、いろいろな場所に行きますが、目に見える障害がある人、私のような車椅子ユーザーをなかなか見かけません。だから私はどうしても目立ってしまいます。同時に、私も他の車椅子ユーザーを見かけたら「車椅子ユーザーが他にもいるなんてめずらしい」と感じて、注目してしまいます。
多様性、インクルージョン、みんな違ってみんないい、とよく言われますが、まだまだ障害のある人とない人は、住む場所、通う学校、行けるところ、やれることが分けられがちです。車椅子ユーザーや障害のある人が当たり前にいて、いても全然気にならない毎日になってほしいのですが。
ミスタードーナツを経営するダスキンは、今から40年以上前の1981年に「ダスキン愛の輪基金」を始めました。日本国内の障害のある人を海外に派遣し、リーダーを育成するための奨学金を提供しています。またアジア・太平洋地域の障害者を日本に招き、研修を受けてもらい、母国のリーダー育成支援もしています。
障害のある人は進学をあきらめないといけないことがよくあります。なぜなら通学や学校生活ではヘルパー制度が使えないことが多いからです。バリアフリー法が昨年改正され、やっと公立小学校をバリアフリーにすることが義務付けられましたが、整っていない建物はまだたくさんあります。目が見えなかったり、さまざまな特性から、文字が読めない、書けない時のサポートも十分ではありません。障害があると、環境が整っていないせいで、学ぶことが難しいことが多いのです。
だからこそ40年以上も前から、障害のある人のリーダー育成に力を入れてきたダスキンの取り組みは素晴らしいと感じています。この愛の輪基金で留学した障害者たちは、運動を始め、障害者のための自立生活センターを全国に作り、ヘルパー制度をはじめとするさまざまな制度を整え、いろいろな人の生きやすさを築いてきました。
1月27日はミスタードーナツ創業日。この日の売り上げの一部が、障害のある人のために使われます。コロナ禍で友だちとわいわい食べるのは難しいかもしれませんが、オンラインでミスドお茶会もいいかもしれません。店頭で並ばずに受け取れるネットオーダーもあります。甘いドーナツで幸せになりながら、この社会で変えていきたいことや、いろいろな人の生きやすさについて考えてみませんか。
いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。