【中部】過去最大数の原告が「静かな夜を」とささやかな願いの実現を掲げる闘いは28日、小雨が降る中で始まった。第4次嘉手納爆音訴訟の原告3万5千余人の委任状入り段ボール24箱を抱え、原告代表らは強い足取りで裁判所に向かった。「今度こそ」。硬い表情の中に強いまなざしが光った。
「頑張り抜いて静かな夜を取り戻そう」。原告団準備会の新川秀清会長が声を張った。第1次訴訟から40年にわたる長い闘い。原告らが求める夜間早朝の飛行差し止めは実現していない。「私たちの運動は広がっている。心を一つに頑張り抜くことは、次を担う子どもたちへの、今を生きる大人の責任だ」。新川会長の言葉に、集まった支部代表らは強くうなずいた。
原告数は第1次の約900人から約40倍に。第1次から参加している仲宗根盛良さん(73)=読谷村長浜=は、裁判所前に積まれた委任状が入った段ボールを見つめる。「訴訟のたびに『今度こそは』と思うが、40年がたっても騒音被害は変わらない」と憤る。「僕らが死んだ後に子や孫たちが裁判をするのは不条理極まりない。静かな日常を取り戻したい」と声を振り絞った。
提訴後に沖縄市内で開かれた記者会見では、6支部から準備会代表らが参加し、第4次訴訟に対する思いを語った。
沖縄支部の大嶺秀光準備会代表(77)は住民の陳述書に日々目を通し、さまざまな思いを聞いてきた。「沖縄の不条理に気付く人が増えたと感じる。3万5千を超える原告は、沖縄の不条理は危険との隣り合わせの生活だと感じ取っている」とマイクを握りしめる。「3万5千余の力を結集しよう」。4度目の闘いに向け、決意を新たにした。
(石井恵理菜)