台湾からの旅行者が「家族」ステッカーを貼るワケ その善意は沖縄県民にも<台湾最強!彭國豪の沖縄発見>5


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寄付してステッカーをもらおうという呼び掛けと寄付金累積額の報告

 まだ個人旅行が普及していなかった、フェイスブックのグループ設立当初、グループは情報共有の場であり、トラブル対処の駆け込み寺的な存在だった。やがてノウハウが蓄積され始めると、旅行経験者の“先輩たち”が新入りメンバーに手を差し伸べるようになった。その名が示す通り「家族」のような互助関係が自然に生まれたのだ。

 そんな「家族」を何か見える形にしたい。そう思って作ったのがステッカー「彭大沖縄救援家族」だ。スーツケースに貼っておけば、困った時にファミリーと知ったメンバーが助けてくれるかもしれない。例え具体的に何もなくても、ステッカーを示し合えば心強く、旅もより楽しめる。

 ただ、少々のコストがかかるからといってステッカーを販売してお金を取ってしまっては、本来の善意を損なうように思った。

100万円以上寄付したため掲載された沖縄こどもの国の掲示板

 そこで考案したのが寄付金のレシートと交換で配布するシステムだ。コンビニ端末の寄付金のレシート1枚で大小各2枚の1セット。寄付金額は問わない。2020年11月現在、寄付件数は4600余。総額は170万元(約700万円)を超えた。コロナ禍の今でもレシートは送られ続けている。

 ステッカーに込めた思いは、多くの賛同を得て広がり、さまざまなプロジェクトの立ち上げにつながっている。

 20年10月にはマスクや防護服など医療物資4万2900点を沖縄県庁に寄付した。同年11月には「沖縄こどもの国」のクラウドファンディングに100万円を寄付するなど、思いは国を超えて沖縄にも届いている。

(口述・沖縄彭大家族 彭國豪、翻訳と構成・渡邉ゆきこ、毎週第1・3火曜日掲載)