復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉2月7日「冬季五輪 史上初の金メダル」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
 

 

 1972年2月7日の琉球新報1面トップは、札幌冬季五輪で日本勢のメダルラッシュを伝えている。「70メートル級ジャンプ 金、銀、銅を独占/冬季五輪史上初の金メダル」との見出しで、大会4日目の様子を共同電で報じている。

 復帰に伴うドル―円通貨切り替えに伴う給与支払いの換算問題を巡り、琉球政府の方針として「公務員給与、実質三六〇円を保証/民間企業にも指導/融資、税制面で検討」と固めたことを伝えている。給与換算問題は、労組の沖縄地方同盟が48時間ストを実施、県労協も統一行動を展開して「大きな政治問題」になっていた。記事中では「昨年八月のニクソン声明とそれに続く本土政府の為替変動相場制への移行によって沖縄県民の通貨不安は現実のものとなったが、昨年末の円の大幅切り上げとドルの切り下げによって抜き差しならぬ状況に追い込まれた」と通貨切り替えに伴う問題を説明している。

 このほか、東京からの出稿で「核撤去など追及/衆院予算委きょう再開」と国会の動きを伝えている。

 さらに「〝六月選挙〟本番へ/保守革新 次々大会開き態勢固め」と6月に実施予定の復帰後初の県知事選と県議会議員選挙に向けた各政党の動きなどを紹介している。

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。