「当時の伊江島を100%再現」取材協力者も激賞 劇団文化座「命どぅ宝」名護公演


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「命どぅ宝」の終演後、客席からの盛大な拍手を受ける劇団文化座の佐々木愛座長(前列左から7人目)と出演者ら=13日、名護市民会館大ホール

 【名護】劇団文化座特別公演「命(ぬち)どぅ宝」(劇団文化座主催、琉球新報社共催)が13日、名護市の名護市民会館大ホールで上演された。1950年代の米軍による土地強制接収に沖縄の住民らが抵抗した「島ぐるみ闘争」を題材にした同作品は、伊江島での取材などを基に構成された。台本作りに協力した伊江島の一般財団法人わびあいの里の謝花悦子理事長も来場し「100%当時のことが再現されている。平和を願う文化座の心意気を感じた」と激賞した。

 座長の佐々木愛さんや制作陣は2016年に伊江島のわびあいの里を取材のために訪れた。わびあいの里は、伊江島で土地接収に抵抗した阿波根昌鴻(しょうこう)さんの生き方や生活ぶり、人となりなどについて資料を展示する。謝花さんから当時のことを聞き取り、台本を作り上げた。

「100%当時が再現されている」と激賞した謝花悦子さん(右)=13日、名護市民会館大ホール

 「命どぅ宝」で阿波根さんを演じたのは白幡大介さん。白幡さんの演技を見た謝花さんは「阿波根さんがそこにいるようだった。俳優の皆さんの沖縄を思う気持ちがひしひしと伝わってきた。文化座の平和運動に感謝したい」と述べた。

 会場の名護市民会館大ホールはほぼ満員。文化座の俳優らの迫真の演技とうちなーぐちの言い回しに、1950年代の島ぐるみ闘争を思い出したように涙を拭うお年寄りらの姿もあった。闘争の先頭に立った瀬長亀次郎役の藤原章寛さんが「まきてーないびらんどー」と呼び掛けると、大きな拍手が起こった。

 座長の佐々木愛さんは上演後の舞台あいさつで「この舞台を沖縄に持ってきて合格点をもらえるか心配していたが、及第点をいただいてほっとしている。これからも『命どぅ宝』を大切に上演していきたい」と述べた。
 (松堂秀樹)