不法投棄相次ぐ場所…市民の力で桜の名所に 沖縄市海邦町、美化活動で再生


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 【沖縄】沖縄市海邦町のボランティア団体「海邦町愛護会」が町内の緑地帯を「市内一の桜の新名所に」と目標を掲げ取り組んでいる。緑地帯に植栽されているのはカンヒザクラ約260本やホウオウボクなど。会員は40代から70代までの10人で週末ごとに草刈りや遊歩道の環境美化活動に取り組む。桜探訪ファンの間で“隠れた名所”として口コミで広がり、開花時期には他市町村からの参観者も増えているという。

「桜の新名所にしたい」と意気込む(前列左から)加賀美英志自治会長、饒平名良雄会長、仲地清美さんと愛護会のメンバー=13日、沖縄市海邦町

 海邦町は約30年前、泡瀬漁港の整備や湾岸通りの新設に伴う埋め立てで区画整理され誕生した。市内37番目の自治会。

 ベンチやあずまやが設置された緑地帯は東西約1・8キロ。県が住民からの要望を受けて桜やホウオウボクなどを植栽し、その後、市に管理が移管された。しかし環境整備が行き届かず、樹木や雑草が茂り、不法投棄などが相次いだ。長年自治会長を務めた愛護会の饒平名良雄会長(70)ら有志の呼び掛けで2014年にボランティア団体として立ち上げ、市から管理業務の委託を受けた。

 「自分は週3、4回作業に来ている。桜愛ですね」と表情を緩める饒平名会長。会員の活動の苦労が実り、年ごとに濃紅や淡紅のグラデーションの花をたっぷり咲かせる。

 加賀美英志自治会長(69)は「地域のスローガンは住む喜び、住む誇り。愛護会の献身で住民の憩いの広場になり、区内の幼稚園児らの散歩道としても活用されている」と愛護会の活動に感謝する。

 会員に樹木医の仲地清美さん(68)がいるのも強み。肥料や害虫の駆除など専門的な知識で育樹を見守っている。枯れた木の補植やより多くの新苗の植樹を増やしていきたい考えだが資金繰りが課題。会員は「新名所にするためにも市に補助を要望していきたい」と意気込んだ。

 (岸本健通信員)