ローカル5G事業化へ OCN、来年度内目指す


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沖縄ケーブルネットワークなどによるローカル5G実証実験に関し開かれたオンライン視察=浦添市宮城のホテルハーベスオキナワ

 沖縄ケーブルネットワーク(OCN、大熊茂隆社長)は限定された地域でネットワークを構築する第5世代(5G)移動通信システム「ローカル5G」について、2022年度の事業化を検討していることが18日、分かった。5Gの高速、安定、多数同時接続の特性を活用し、集合住宅でのインターネットサービスを想定する。現在実証実験を行っている浦添市の集合住宅地域を皮切りに、23年度以降は対象エリアを拡大したい考えだ。

 OCNは地域ワイヤレスジャパン(東京、小竹完治社長)、沖縄テレビ放送(OTV、船越龍二社長)などとともにローカル5Gを活用したシステム実証実験を昨年12月から開始した。

 総務省の「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」の一環として、浦添市宮城で災害時のテレビ放送受信障害を想定し、応急復旧を実施。地域の17世帯に受信端末を配布し、接続状況などを点検していた。

 台風などの災害で引き込み線の断線やテレビの受信アンテナが壊れた際は、テレビ視聴やネット接続ができなくなり、復旧に時間を要することが多い。平時から無線通信の5Gを活用し、高速インターネットと放送を共用するサービスを展開すれば、災害時の障害の復旧時間が短縮され、利用者や事業者の負担軽減にもつながる。

 2月18日、浦添市のホテルハーベスオキナワで実証実験のオンライン視察が行われ、ケーブルテレビ事業者や総務省の関係者らが参加した。この日は災害で集合住宅の設備破損でテレビの視聴ができない想定で、タブレット端末を使い5G経由で視聴を再開できたことを確認した。

 OCNの大熊社長は「集合住宅向けの高速インターネットサービスとしての展開を考え、防災への活用も検討している。受信機の設置場所など課題はあるが、少しずつ改善してサービス提供エリアを広げたい」と話した。 (小波津智也、写真も)