石垣市長に自公が推す中山氏が4選 沖縄県内政局への影響は?


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沖縄県庁

 石垣市長選は自民、公明が推薦する中山義隆氏が4選を果たした。1月の名護、南城両市長選に続いて「選挙イヤー」序盤の市長選を自公推薦候補が3連勝し、参院選沖縄選挙区や県知事選の奪還を見据える自民党は一層の弾みを得た。玉城デニー知事を支える「オール沖縄」勢は保守分裂に乗じた保革相乗りの効果を市政転換につなげられず、戦略の行き詰まりや組織力低下の深刻さをあらわにした。

 中山陣営は名護、南城両市長選と同様に、新型コロナウイルス禍からの経済・観光、市民生活の回復を前面にした。「国とのパイプ」による施策の実現性や財源確保を強みに政権与党側の訴えが有権者に響いた形だ。コロナ禍脱却の道のりは長期化も予想され、自公勢力は今後も同様の戦略で臨むとみられる。

 3月13日の自民党大会をめどとする参院選沖縄選挙区の候補者決定や、参院選とセットと位置付ける県知事選の玉城知事の対抗馬選びについても、自民内の議論が一気に加速化しそうだ。

 砥板芳行氏の陣営は、政党からの推薦は受けず玉城知事の来島も断るなど、革新のイメージが強まるオール沖縄色を消す戦略で臨んだ。保守色の強い候補者で市政転換につなげた宮古島市長選の再現を狙った側面はあるが、オール沖縄の訴求力低下が表れている。

 オール沖縄は、辺野古新基地建設阻止を前面に打ち出した名護市長選、現職の実績をアピールした南城市長選に続き、保革共闘で臨んだ石垣市も落とした。あらゆる戦略が奏功せず、手詰まり感も漂う。組織再構築による訴求力回復という課題が改めて突き付けられ、長引くコロナ禍で有権者に浸透する再興ビジョンの提示も求められる。
 (大嶺雅俊)