シベリア抑留や戦後引き揚げも… 京都・舞鶴の記憶を中城で 引き揚げ巡回展始まる


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引き揚げ桟橋を模した展示資料などを見学する来場者ら=12日、中城村護佐丸歴史資料図書館

 【中城】舞鶴引揚記念館全国巡回展in沖縄(京都府舞鶴市、舞鶴市世界記憶遺産保存活用推進委員会、中城村主催)が12日、中城村護佐丸歴史資料図書館の企画展示室で始まった。シベリア抑留や戦後引き揚げに関する資料67点が展示されている。27日まで。入場無料。

 抑留体験者がシラカバの樹皮に日々の出来事や思いを記録した「白樺日誌」など、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界記憶遺産」に登録されている資料40点もある。抑留中に収容所での様子などを描き、奇跡的に没収を免れたスケッチブックなどもある。

 開会式で泉茂舞鶴市副市長は「舞鶴と久場崎は苦労や悲しみを乗り越え、祖国に戻った人々と共に戦後復興が始まった場所だ。歴史を若い世代に引き継いでいきたい」と述べた。浜田京介中城村長は「歴史への理解を深め、進むべき道を考える契機にしてほしい」と呼び掛けた。

 舞鶴市には戦後、13年間にわたって計66万人余が引き揚げた。約7割が旧ソ連方面だった。極寒の中、重労働や飢えなどを経験した抑留体験者の記録が2015年、世界記憶遺産に登録されている。

 同巡回展は「久場崎と舞鶴―ふたつの港の戦後引き揚げ」と題し、1月に同館で始まった共催展の一環。隣接する展示室では、沖縄帰還の中心地となった中城村・久場崎港での引き揚げを紹介する企画展も続いている。