米統治下の住民、たすきやポスター 復帰前夜のうねりを写真や映像120点で 県立博物館で企画展


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1965年に来沖した佐藤栄作首相(当時)に宛てて阿波根昌鴻さんらが作成したとみられる陳情書の展示を見る来場者=18日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館

 沖縄の日本復帰50年を機に県立博物館・美術館が企画した展示会「復帰前夜―。希(こいねが)う、未来。」が18日、那覇市おもろまちの同館で始まった。8月21日まで。米統治下の沖縄で相次いだ米軍関連の事件・事故や、復帰・反基地運動を展開した沖縄の状況について写真や映像、文字資料など約120点を展示し、復帰前までの社会状況について紹介している。

 1965年に来沖した佐藤栄作首相(当時)に宛て、伊江島で土地闘争に取り組んだ阿波根昌鴻さん(1901~2002年)らが作成したとみられる「伊江島軍用地問題に関する陳情書」(一般社団法人「わびあいの里」所蔵)も展示している。陳情書には、米軍により強制的に土地を奪われた人々が、土地の返還や日本復帰を求める切実な思いが記されている。

 米統治下の住民の様子や米軍車両にひき殺された幼女など、写真家の嬉野京子さんが撮影した写真も展示中。

 「沖縄県祖国復帰協議会」のたすきやポスター、復帰運動を取材する際に琉球新報の記者が使用したヘルメット、東京で復帰関連の動きを取材した際のメモなども紹介している。

 同館学芸員の外間一先さんは「展示を通して当時の人々の思いや訴え、生活の様子、社会状況を読み解いてほしい」と来場を呼び掛けた。問い合わせは同館(電話)098(941)8200。

(古堅一樹、写真も)