琉球釣遊会の嘉陽田章浩さんはフカセ釣りをメインにしてきたが、3年前に宮古島に転勤したのをきっかけにロウニンアジを狙い始めた。仕事の合間に何度か竿(さお)を出し、ロウニンアジを狙い続けたが、なかなか釣り上げる事ができなかった。
4月から沖縄本島に転勤になるので、戻る前のラスト釣行と決め15日、仕事を終えてすぐさまポイントに向かった。ここは、よく知り尽くしたポイントでもあり、昨年8月に大物のロウニンアジをバラしたポイントでもある。午後6時に、以前に釣って冷凍していた30センチ前後のイスズミを餌に、仕掛けを投げ入れた。30分後、サメがヒットしてライン切れ。再びイスズミを餌に仕掛けを投入してアタリを待った。
1時間後、ラインが引き出される「ジィー」という音で竿を見ると、海に向かって突き刺さるように曲がっているではないか。竿を取り、数回フッキングを入れるが魚の勢いは止まらず、100メートル程走り、ようやく最初の走りが止まった。止まった魚は左右に泳ぎ回って抵抗するが、神様がくれた最後のチャンスに、渾身(こんしん)の力を振り絞って応戦。ゆっくりではあるが魚と嘉陽田さんの間を縮めることができた。
20分後、浜辺に大きな魚体が浮かび上がった。海に入りハンドランディングで砂浜に引き上げたのが138.5センチ、35.2キロのロウニンアジ。釣りの神様と宮古島の海に感謝した。
(おきなわ釣り王国社・仲栄真修)