ドローン使って「貧困の連鎖断つ」 沖縄で子ども向けICT講座


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ドローンを使ったプログラミング教育を体験する大学生ら=16日、琉球大

 特定非営利活動法人困窮者支援ネットワーク(那覇市)など3団体が連携し、困窮世帯などの子ども向けに小型無人機(ドローン)を使った無料のプログラミング講座事業を始める。人工知能(AI)などの普及に伴い多くの仕事が機械に置き換えられることが予想される。ドローン操作を楽しみながらプログラミングを学び、早い段階からIT(情報技術)のスキルを身に付けてもらうことで「貧困の連鎖を断ち切る有効な手段になる」(財津英郎プロジェクトリーダー)と、効果に期待を寄せる。

 事業は困窮者支援ネットワークと、クリエーティブオフィス財津商店、ランドマークスの3者が連携した「沖縄ICTキッズプロジェクト」の取り組みだ。講座のほか、県内小学校での出前事業も計画している。

 扱いが容易な重量100グラム以下の教育用ドローンを使う。タブレット端末を使い飛行方法を事前にプログラミングすることが可能で、「上昇、下降」「左回転・右回転」など4種類の命令を組み合わせてドローンを目的の場所へ移動させる過程を学ぶ。

 プログラミング成果をドローンの飛行で確認でき、最先端の技術に触れながら楽しく学べる特徴があるという。

 講座を始める背景にはAIやロボットなどの技術発達がある。今ある仕事の半数近くが将来的に自動化されるとの予測がある中、ITスキルを身に付けて「コンピューターやAIをコントロールしていく側の仕事に就くことが必須」(財津氏)となる。

 一方、民間の子ども向けプログラミング教室の月謝は他の習い事に比べても高い傾向にあるという。特に困窮世帯にとっては重い負担だ。IT教育で差がつけば格差是正が困難になる懸念もあると考えて企画した。

 プログラミング教育の効果調査は琉球大教育学部の岡本牧子准教授が協力しながら進める予定で、効果を検証しながら進めていく。

 16日にはメンター(指南役)となることが期待される大学生を対象とした講習会が行われ、実際にドローンを使って確認した。

 困窮者支援ネットワークの若園篤利専務理事は、従来から行ってきた学習支援の延長線上に今回のプロジェクトがあるとした上で「輸送コストが高く、ものづくりが難しい沖縄にとって、プログラマーは運賃がかからず沖縄を拠点に収入を得られる手段となる」と述べ、沖縄の懸案である貧困脱却につながることに期待した。ドローンを使ったプログラミング体験教室は3月27日から4月2日にかけて那覇市内3カ所で行われる。無料。

詳細はhttps://www.konkyusyashien.com/kodomo.php#a04から。
 (知念征尚)