除草剤を使わずに雑草を防ぐ 沖縄美ら島財団顧問の高江洲さんに最高賞 日本雑草学会


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日本雑草学会賞業績賞を贈られた沖縄美ら島財団顧問の高江洲賢文さん(提供)

 【本部】沖縄美ら島財団(本部町)の顧問、高江洲賢文さん(70)が3月29日、県内主要作物の畑の雑草の群落組成や周年変化を調査し、作物の生育・収量に及ぼす雑草害を解析して防除体系の確立に貢献したとして、日本雑草学会の最高賞に当たる業績賞を受賞した。県内では3人目の受賞。

 高江洲さんは1986年4月から87年3月まで名護市内の5地域でサトウキビ春植え畑、同株出し畑、パイナップル春植え畑、同株出し畑、野菜冬作畑の各3~4カ所を選定し、雑草の発生状況の均一な場所で植生調査を実施した。

 その結果、サトウキビ畑では春植えの生育初期を除いて雑草の草高がサトウキビより低く、パイナップル畑では、春植え畑ではパイナップルより低いが、株出し畑では高いことが分かった。野菜畑では、ほぼ周年にわたって雑草の草高が野菜より高かった。

 メヒシバやムラサキカッコウアザミ、タチスズメノヒエなどさまざまな雑草の生育期間や草高を考慮に入れ、サトウキビの後にイモや野菜などの作物を交互に栽培することで、雑草の被害を低減できることを理論的に整理した。研究成果は1991年に論文にまとめて発表した。

 高江洲さんは受賞について「30年以上前の研究なのでびっくりした。県外でもタチスズメノヒエなどの雑草の被害が広がるようになり、除草剤を使用しない防除体系が総合的に評価されたのだと思う」とした上で、「農薬を使わずに雑草を防除することで、畑にも人にも優しい農業ができる」と研究成果が広がることに期待した。

 高江洲さんは研究成果を活用した雑草の防除診断ハンドブックを作成し、普及指導に努めている。
 (松堂秀樹)