昼は学童、夜は学習教室 現代版「寺子屋」が沖縄・宜野座村で人気


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
泉本理惠子代表と児童たち=宜野座村松田区の「わらばぁはうす」

 【宜野座】宜野座村松田区に、児童や生徒が家庭的な雰囲気の中で勉強したり遊んだりして過ごす現代版寺子屋教室「わらばぁはうす」がある。昼間の学童保育では、松田小学校の児童が学びや遊びを通じて社会性を養う場に、夜は村内の中学生の基礎学習教室となっている。通常の学童保育の他、夏休みなどの1日型の日課があり、最近はコロナ禍による臨時休校時も利用されている。

 経営者の泉本理惠子さん(和歌山県出身)は、宜野座高校が2001年の春の甲子園大会に21世紀枠で出場したのをきっかけに沖縄と宜野座村が大好きになり、2015年の春、松田区に移住した。その年の7月に「わらばぁはうす」をスタートさせた。

 学童保育では、小学校の宿題や読書、工作やおやつ作り、外遊びなど多彩に取り組んでいる。児童の遊びたい気持ちが高まれば時間割通りでなく、状況に応じて遊びを優先させるなど、子どもの主体性や感性に柔軟に対応する。「家では集中して取り組めない家庭学習を、わらばぁはうすで済ませてから帰宅させる。宿題は時間のある限りやり直しまでさせる」と言う。

松田区の文化や自然環境が描かれた「わらばぁはうす」の壁画前でポーズをとる児童ら

 教室は当初から営利目的ではなく、泉本さんが長年の教員経験から築いた理念に基づき、公的な認可や行政からの支援は受けずに低料金の月謝と自身の年金で運営している。

 地域での評価も高く、利用を希望する家庭も多いが、泉本さん1人で運営しているため、定員は少人数だ。それでも、高学年の児童の保護者が低学年の子に定員を譲るなど保護者同士の譲り合いも見られ、本年度は新たに5人の1年生を受け入れることになった。

 わらばぁはうすではテレビやスマホの使用はできない規則だが児童は不満もなく、元気いっぱいに自ら遊びを見いだし、創造力や協調性を育んでいる。泉本さんは「わらばぁはうすを通して、大好きな宜野座村に少しでも貢献できれば」と語った。
 (池辺賢児通信員)