「屈辱の日」授業でどう教える…復帰を知らない教員らが授業展開模索 写真を多用、事実を客観的に


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「屈辱の日」について学ぶ南風原中学3年生の生徒たち=25日、同校

 4月28日の「屈辱の日」や沖縄の復帰を、どのようにして生徒に教えるか。復帰を知らない世代の教員らが23日、南風原中学校に集まり、これまで復帰関連の授業を重ねてきた教頭らのアイデアにヒントを得ながら、互いに悩んでいることを打ち明けて授業展開を模索した。

 島尻地区の中学校社会科教育研究会のメンバーを中心に、他地区からもさまざまな教科の教員が集まった。「屈辱という言葉が強くて、生徒たちに政府批判、米軍批判だと単純に理解されてしまう可能性があるのでは」「中部では両親がベース内で勤務していたり、軍属だったりする。子どものアイデンティティーを傷つけないか、いつも配慮に苦心している」などの悩みがあった。

 これまで各学校で授業を重ねてきた中頭教育事務所の金城均さん(51)と伊良波中の内山直美教頭(51)は、復帰までの沖縄の歴史を当時の写真を多用してイメージさせる授業展開を紹介した。「事実を客観的に伝えることが大事」「成長段階で感じ取ることが違う。毎年繰り返し取り上げることに意味がある」と説明した。

 25日は南風原中3年生のクラスで「屈辱の日」をテーマにした社会科の授業が開かれた。内山教頭らが続けてきた授業を照屋あすか教諭が実践した。生徒の一人は「説明だけだと沖縄のことでもイメージしづらい。でも写真や具体的な地名が出て、想像しやすかった」と話した。別の生徒は「当時の沖縄の人たちが、土地を取られたり苦しい生活を強いられたりして、米国や日本政府を許せないと怒っていたことがよく分かった」とした。その上で「こんな歴史があったから、今後こんなことが起こらないように私たちは何ができるかを考えるべきなんだと思った」と話した。
 (嘉数陽)