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障害のある人間同士一緒に<伊是名夏子 100センチの視界から>121


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
コロナが始まる前、同じ障害の友だちと韓国料理を食べに

 ゴールデンウイークが明けた5月6日はwishbone day、骨形成不全症の日です。黄色がテーマカラーで、黄色いものを身に着け、SNSに#wishbonedayのタグを付けて投稿します。

 骨形成不全症は骨が折れやすい障害ですが、いろいろなタイプの人がいて、歩いている人もいれば、寝たきりの人もいます。頭の重さに耐えきれず背骨が変形し、内臓を圧迫することもあります。耳の骨に影響が出て難聴になったり、歯が欠けやすくなったりして40代で入れ歯になる人もいます。障害があると気づくことなく過ごし、急に骨折が増えた60代に骨粗しょう症の検査をし、骨形成不全症だったと分かる人もいます。声が高い人も多く、私は自分のことを「私の体のように小さなリコーダー、ソプラノのような声です」と紹介することもあります。

 障害のある人が普通学校に通うことも多くなり、いろいろな人が同じ場所で、一緒に過ごすことも増えてきました。しかしデメリットとして、障害のある人同士が出会いにくくもなってきたのです。自分が感じている困りごとや悩みを共有する人がいないことで、我慢を重ねてしまうことがあります。

 学校のメインエントランスは階段のみで、遠回りをすればスロープがあるけれど時間がかかること、体育の時間は見学をするのが当たり前になってしまうこと、弾いてみたい楽器を選ぶよりもできそうな楽器を選んでしまうこと、一番前の席が固定席になってしまい席替えの楽しみが奪われること。なんとなく嫌だなと思っていても、我慢が当たり前になりすぎて、気にしないようにしてしまいがちです。障害がない人が基準の環境に合わせることが当たり前になり、障害を理由にできないと言ってはいけない、もっと努力をしないといけないと感じる子どももいるでしょう。

 だからこそ同じ障害のある人とつながることで、救われることがあります。困っているのは自分だけではない、できないことは自分のせいではないと思えるからです。

 マイノリティーは、マジョリティーの生活に合わせるために、自分の属性を隠したり、同じ境遇のマイノリティーを避けたりすることもあります。でも同じマイノリティーでしか共有できないこともあります。大切なことはいろいろな居場所を持ち、自分なりに使い分けること。自分が居心地のいいように、そしてやりたいように、必要な配慮をうけながら、自分らしく過ごしたいですね。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。